胚培養
受精確認
体外受精・顕微授精を行った翌日に受精の確認を行います。正常受精では卵の中に前核(PN:pronucleus)と呼ばれる核が2個(卵子由来の核、精子由来の核が1個ずつ)確認できます。
しかし、精子が2個以上卵の中に入ることや、卵または精子の成熟が正常にできていないなどの原因で前核が3個以上確認される場合があります。前核が3個以上確認された卵は異常受精と判断し、培養を中止しています。
また、受精確認日に前核や分割が確認できなかった卵や、細胞が壊れてしまった卵も培養を中止します。
培養
正常受精した卵は「胚」と呼ばれるようになります。
受精確認の翌日(媒精から2日目)には細胞分裂(分割)が始まります。胚は分割を繰り返しながら発育し、媒精から5~6日目ごろに胚盤胞になります。
胚の評価
当院では、培養している患者さまの胚を培養士が1つ1つ観察しています。観察時には胚の形態学的(胚の見た目)な評価も行っています。
胚の評価は分割期胚と胚盤胞の時期に行い、当院基準のグレート分類により評価をしています。
一般的にグレードが良い胚ほど妊娠率は高くなる傾向にありますが、グレードの低い胚でも妊娠の可能性はあります。また、グレードにより、妊娠成立後の胎児の発育や異常に相関性はないとされています。
分割期胚の形態評価
当院の分割期胚評価は、フラグメント(分割のときに生じる小さな細胞の断片)の量で4段階に評価をしています。
胚盤胞の形態評価
胚盤胞評価はガードナー分類を基に当院基準で行っています。
ガードナー分類は一般的に用いられる評価法で、胚盤胞腔の広がりと孵化(ハッチング)の程度によって1~6の6段階のスコアをつけます。
さらにスコアが3以上の胚盤胞については、将来胎児になる内細胞塊(ICM:inner cell mass)と将来胎盤になる栄養外細胞(TE:trophectoderm)の細胞の様子についてA、B、Cの3段階に評価します。当院ではさらに細分化し、ICMとTEをA、A’、B、B’、C、C’の6段階に分類して評価しています。
当院では胚盤胞直径が150µm以上発育したら拡張期胚盤胞とし、拡張期胚盤胞以上(スコア4~6)発育したら凍結を行います。(新鮮胚盤胞移植の場合はスコア3以上(胚盤胞以上)発育したら移植可能としています。)